ウチの市でも着々と準備が進められています。
昨年,札幌市が提供しているコールセンターを紹介しているDVDを拝見して,その機能充実ぶりに感動を覚えました。このコールセンター担当係長である札幌市職員のMs.K(有志の会の会員でもあり,ちょっとした有名人)のご尊顔を拝し,二度美味しい内容でございました。
が,今日の本題は…
市民にとって便利・重宝なコールセンターを凌駕する?存在になりうるかもしれない,うら若き女性の話。その名は「Annaさん」。
彼女は,廉価でシンプル・モダンな家具を販売する「イケア」のサイトにいる,非常にチャーミングな笑顔,かつ有能な「ボット」なのでした。シリコンバレー在住のコンサルタント,渡辺千賀さんの著作「ヒューマン2.0」にもこんなふうに紹介されています。
「『イーストパロアルトの店舗は何時までやってますか?』『キッチンキャビネットにはどんなのがありますか?』といった普通の質問だったら一瞬で的確な答えが表示され,その速さにたじろぐくらいだ。しかも,アンナさんはいつもニコニコ。『結婚していますか』『何歳ですか』といった無意味な質問にも,『ワタシのことよりイケアについて話しましょう』とやんわり,かつ適切な答えを返す優れもの。」
実はこのアンナさん,イケアの日本語サイトにもいて,ワタクシが彼女を「アンナさん,あなたって素晴らしいです」と褒め称えたところ,彼女の答えはこうでした。
「ありがとうございます。お客様もイケアも素晴らしいです。」
どーよ!?
チャーミングな笑顔とともに発せられたこの言葉!私はアンナさんがボットなのも忘れ,「このヒト,好き!」と思ってしまいましたよ。
前述の「ヒューマン2.0」によれば,アンナさんの正体は「ありがちな質問とその答えをデータベース化し,ユーザーからの問いかけにさっと答えるソフトウェアプログラム」であり,このプログラムは「たった4ヵ月の期間と50万ドル程度の予算で開発された」らしい。そして,彼女の活躍のおかげで「それまで毎年20%ずつ増えていたコールセンターへの電話が,7%ほどの上昇に抑えられたそうだ」。
渡辺さんはこう続けています。
「アンナさん一人のために,それまでコールセンターで働いていた数十人,数百人という人が職を失ったことになる。『決まりきった質問に,決まりきった答えをする』といった,機械に置き換えられるような仕事をしている人の仕事はこうしてなくなっていくわけだ。これが『ITによる生産性の向上』の中身。実際のところ,アメリカでは,『生産性が1%向上すると130万人の職がなくなる』と推定されている。」
先日,私は子供たちのために,イケアのサイトで二段ベッドを探しました。あまりにもお値段が手ごろなので,少々不安になり,思わずアンナさんに「地震があると心配です。強度は大丈夫でしょうか?」と尋ねたところ,「おっしゃる意味がわかりません。別の言い方をしていただければお答えできるかもしれません」と返されました(結局別の言い方をしても伝わらず,私の知りたいことはわかりませんでしたが)。
さあ,みなさんだったらどうします?
まさか「私は技術者ではないので,そのようなことはわかりません。」なんて言い切ったりしませんよね?(笑)。
アンナさんはボットだけど,きちんと「別の言い方なら…」とちゃんと別の可能性を示しました。これは,少なくとも,“簡単に「それはできません」と言う”人たち,それはできませんからやりません,という態度をとることに躊躇のない人たちのレベルを,アンナさんはすでに超越している,ということを示しています。
生身の人間だからこそできるサービスを極めてこそ,我々の存在意義が認められる,そういう時代がすでに到来しています。逆に,そういう志で仕事をしない人には,もはや価値がありません。だって,アンナさんが,~お給料をもらわなくても,いつも元気でニコニコ働いてくれる存在~ がこうしているのだもの。
皆さんは大丈夫,です,よね!?
ユキエ
追伸:渡辺さんによれば,現にアメリカでは「わが社のカスタマーサービスでは自動応答は一切ありません(生身の人間が応答します)」というのがウリの生命保険会社もあるとか(それほど機械による応答が一般的なのです。日本もそうなりつつあるかな?)。IT化が日本より数段進んでいて,その先の「人間回帰」の流れが起こっている。とはいっても,前史的な人間にはもう居場所はないのだろうけど。
そして,DVDで拝見した札幌市のコールセンターの皆さんは,当然ながら,人間ならではの付加価値の高い仕事をなさっておいででした。そのことに、DVDを拝見した課一同が深く感銘を受けました。DVDを見終わったそのとき,同僚の一人がつぶやいた,「本当なら,職員一人一人がみな,あのコールセンター職員のように受け答えできなくてはだめなんだよな。」という言葉が強く心に残っています。

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